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国立環境研究所特別研究報告(SR−8−’92)(平成4年3月発行)
「バイオテクノロジーによる大気環境指標植物の開発に関する研究」(昭和61年度〜平成2年度)

 我が国における窒素酸化物や光化学オキシダントによる大気汚染は依然として高いレベルにあり、農作物や森林等に悪影響を及ぼしていると考えられる。本報告書では、植物を用いて大気環境をモニターするための手法の改良を目的として実施された研究の成果や、遺伝子組換え技術による植物の大気汚染感受性の改変手法について検討を行った結果について述べられている。報告書は、まず本研究の基礎となる大気汚染物質による植物障害の仕組みについて解説し、大気汚染物質に感受性の高い植物の選抜、大気汚染に対する抵抗性に関与する遺伝子の単離と遺伝子組換え植物の作成、光化学オキシダントの主成分の一つであるペルオキシアセチルナイトレート暴露装置の開発、大気汚染被害の画像による計測手法の開発、ペチュニアや蘚苔類等の指標植物を用いて野外大気環境を評価する手法の検討等を行った結果を報告している。

(地域環境研究グループ 近藤矩朗)

国立環境研究所特別研究報告(SR−9−’92)(平成4年3月発行)
「富栄養化による内湾生態系への影響評価に関する研究」(昭和61年度〜平成2年度)

 近年、内湾は周辺都市の発展に伴って生活排水や産業排水などの流入が増大し、その汚濁が急速に進行した。その結果、富栄養化が顕著になり、赤潮発生などの有力な一因となっている。

 本報告書は、このような富栄養化が内湾に生息する赤潮生物などの生態系に及ぼす影響を現場海域調査並びに室内実験によって明らかにする目的で実施してきた特別研究の最終報告である。報告書では、マイクロコズムを用いた室内実験並びに播磨灘に設けた隔離生態系実験施設(メゾコズム)を用いて自然条件における赤潮生物の群集生態学的研究を行うことにより沿岸域での赤潮生物構成種の発生−変遷−消滅等の機構について検討している。特に、現場海域で実測した物理・化学・生物量の諸データを解析することによって海洋メゾコズム内でのベン毛藻(シャットネラ)赤潮の人為的発生及びフラスコ内における赤潮の初期発生など実験的研究の成果が述べられている。

(地域環境研究グループ 竹下俊二)