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東京都心商業地(銀座周辺)の環境

研究ノート

近藤 美則

 昨今、東京の都心では、産業や交通の集中により環境汚染や交通問題が深刻になるとともに、地価が高騰し、居住人口が減少している。そういう状況の中で、都心の住民が自分達のまわりの生活環境をどう認識・評価しているかを知ることは、都心への人口定着を図るうえで重要なことと考えられる。そこで都心の商業地として中央区の銀座、八重洲、京橋と日本橋を選び、住民の環境意識を調査分析した。

 調査はアンケートにより行い、この地区に住民票をおく者に、「生活の場の中で受けている迷惑や被害」について自由に記述してもらった。住民票はあるが実際には住んでいない人が少なくないという特徴が、調査票の回収時点で分かった。

 調査票に記述された回答を読むこと、回答に使用された語の出現頻度を調べることにより、この地区における住民の被害・迷惑感の一端が次のように分かった。回答の多いものや特徴のあるものを順にあげると、まず、何度も水道、ガス、電気、電話などの公共工事を繰り返され、特に夜間に、道路や歩道が掘り返されることによる通行障害とその工事騒音のうるささ、次にビルの解体・建設工事に伴う騒音と震動のひどさ、第3に駐車場の不足と違法、不当な路上駐車の多さとそれによる通行障害、つまりドライバーのマナーの悪さに関係するもの、第4に浮浪者、カラス、犬、猫などによるゴミの散らかし、及びその後始末を自分達が行う煩わしさ、そして酔っぱらいの傍若無人な振る舞いなどであった。

 これらについての回答者の記述は、一人当たりの記述量の多さ、一見華やかに見える都心の裏面を個別具体的に状況描写しているという点で、私が他の地域で行ったアンケート調査と比べてみてかなり興味深かった。今後は、他の調査結果と見比べながら、都心商業地住民の環境意識の分析を深めて行きたいと考えている。

(こんどう よしのり、社会環境システム部環境計画研究室)