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2018年3月30日

スモッグチャンバー

コラム2

 国立環境研究所のスモッグチャンバーは、研究所の設立と同じころにつくられました。これまでに改修を繰り返しながら40年以上稼働しています。この装置は、反応容器本体、人工太陽光源、真空排気システム、空気精製器、試料導入装置、温度制御系、長光路フーリエ変換赤外分光計(FTIR)ならびにその他の化学分析装置から構成されています。

 反応容器本体の内容積は6m3で、人が入れる大きさです。材質はステンレス製で、表面での化学反応を抑えるため内壁はフッ素樹脂で被覆されています。実験室では太陽光の代わりに、キセノンランプの光を使います。地上での太陽光スペクトルを再現するために、珪ホウ酸ガラスフィルターを用い、不要な紫外線をカットします。温度や圧力の制御も可能です。かつては高度約20kmに相当する気圧(0.1気圧)下で、オゾン層に届くような紫外線を発生するランプを用いて、オゾン層破壊の模擬実験を実施したこともあります。

 多くの実験では、反応容器本体に精製空気を1気圧導入した後に試料ガスを加え、光を6~8時間照射します。光照射中の化学変化の追跡に用いる長光路FTIRは、多重反射鏡により赤外光を本体内で65往復させて、微量物質の吸収スペクトルを測定します(図2)。光路長は221mで、大気と同程度の低い濃度でも試料ガス中の成分を検出することができます。FTIRはチャンバー内の空気をサンプリングすることなく、時々刻々変化する試料ガス成分を測定できる点が特徴です。また反応容器内の空気を採取・化学分析して、微量物質の化学変化を追跡することもあります。

図2 FTIR赤外分光計で測定された吸収スペクトル
p-キシレン、NO、およびNO2の混合物をスモッグチャンバーに導入して測定した(a)光照射前および(b)3時間光照射後のスペクトルです。光照射後にはp-キシレンの吸収が減り、オゾン、COとCO2の吸収が増えています。