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2012年4月30日

試験管内生命で環境汚染を視る
- 環境毒性の in vitro バイオアッセイ

環境儀 NO.44

白石不二雄
環境汚染物質の毒性を評価するため、培養細胞や微生物を用いたさまざまな in vitro バイオアッセイ法を開発してきました。こうした試験法は、今後、環境モニタリングにも応用できます。

 in vitro(インビトロ)バイオアッセイとは、主に培養細胞や微生物を用いた毒性試験のことをいいます。この方法は、実験動物を用いた試験法に比べ、安価かつ迅速に毒性試験を行うことができる特長をもっています。国立環境研究所では、in vitro バイオアッセイに早くから取り組んできました。この方法で評価する環境汚染物質は時代とともに変化し、ガス状や粒子状のもの、揮発性で難溶性のガス、高分子などを測定するための in vitro バイオアッセイを新たに構築する必要がありました。培養細胞にも工夫が必要でした。また、内分泌かく乱作用の測定では、酵母を用いた迅速なバイオアッセイシステムを構築しました。

 日本においては、大気や河川水などに含まれる規制化学物質による環境汚染は改善されつつあります。しかし、大気や河川水には多成分かつ低濃度の化学物質が含まれており、これらの化学物質による汚染が懸念されています。今後は迅速で簡単に使える様々な in vitro バイオアッセイを活用することによってこうした化学物質を計測し、平常時の環境モニタリングデータを集積することが重要です。


本研究に関する成果は以下のページで紹介されています。