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地球環境保全に向けた国際合意をめざして
- 温暖化対策における社会科学的アプローチ

環境儀 NO.20

亀山康子/久保田泉
地球環境保全に向けた国際合意の成立には、国際政治学や国際法の知見が生かされています。

 1997年、地球の温暖化抑制を目的として京都議定書が採択され、2008年から2012年までの温室効果ガス排出量に関する先進各国の数値目標が課されました。その後、温室効果ガス最大の排出国・米国の離脱により、一時実現を危ぶまれた京都議定書も2005年2月に発効し、世界は目標達成に向けて大きく動き始めました。とはいえここに至る経緯は平坦ではありませんでした。各国・地域の主張、思惑により議論が百出し、方向が決まるまでには多くの交渉と長い時間が必要でした。

 その国際交渉の中で注目されたのが、社会科学系の研究者の存在です。彼らは自然科学系の研究者がまとめた多くの研究成果を実際の社会システムに投影し政策として方向性を示す研究や、他の国の合意を得るための方法などの研究を行い、国際交渉の場で活躍しています。

 国立環境研究所では地球温暖化に関する社会科学系の研究を行ってきており、2001年度から開始した「地球温暖化の影響評価と対策効果プロジェクト」の中でも重要なテーマとして位置づけています。本号ではその中から、気候変動枠組条約における国際制度の構築をめぐる研究を取り上げました。