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陸水モニタリング事業

1. 事業概要・目的

   関東平野の北東に位置する霞ヶ浦は、最大水深6m、平均水深4mと浅く、日本で2番目に大きな面積を有する湖沼です。平地に位置する浅い湖沼という特徴から、広い集水域をもち、生物相は極めて豊かで、かつ、人間活動の影響を大きく受けているという特徴があります。
   国立環境研究所(当時は国立公害研究所)では発足間もない1976年から、この霞ヶ浦(西浦)を湖沼研究の場として継続的に調査を行ってきており、30年以上にわたる貴重なデータが蓄積されてきました。また、「ただデータを蓄積する」だけではなく、当該採水調査と連動・協働した研究活動を行うことで、湖沼環境に係る科学的知見を高めることに役立てられています。
   現在、本事業は、地球環境監視システム/陸水環境監視計画(Global Environmental Monitoring System; GEMS/Water)の日本におけるトレンドステーション(水質の動向を継続的にモニタリングするサイト)の一つとして取り上げられており、10地点中3地点(湖心、湖尻、高浜入)の水質データはGEMStat(水質データベース)に登録されています。
詳細はこちら→(http://www.nies.go.jp/biology/kiban/inlandwater_monitoring/index.html)

2. 具体的な活動

   毎月1回、霞ヶ浦(西浦)10地点において、水温、pH、 溶存酸素(DO)、透明度、光強度等の測定を行っています。同時に水質、微生物および底泥サンプルの採取も行っています。採取サンプルに対しては、以下の分析・計測を実施しています。

  1. 懸濁物質(クロロフィル-a [Chl-a]、懸濁態濃度 [SS]、懸濁態炭素 [POC]、懸濁態窒素 [PON] )
  2. 窒素(全窒素、溶存態全窒素、アンモニア性窒素、亜硝酸性窒素、硝酸性窒素)
  3. リン(全リン、溶存態全リン、リン酸態リン)
  4. 化学的酸素要求量(過マンガン酸COD)(全COD、溶存態COD)
  5. イオン等(電気伝導度、無機マクロイオン [Na, Ca, Mg, Si等]
  6. 生物分類・計数(植物プランクトン、動物プランクトン、原生動物、底生生物、全細菌数、一次生産等)

   その他、調査に参加している研究者らによって調査されている項目は以下の通りです。これらは参加している研究者の興味に応じて、追加されたり削除されたりします。

  1. 溶存有機物関係(溶存有機炭素 [DOC]、 難分解性DOC、フミン物質、糖類組成、アミノ酸組成、分子サイズ、3次元励起蛍光スペクトル等)
  2. 微量金属イオン(鉄、銅、アルミニウム等)
  3. 微生物群集構造解析(湖水柱や底泥、DGGE解析、アオコ特定プライマーの使用等)
  4. 底泥間隙水(DOC、 溶存態窒素、溶存態リン、底泥溶出フラックス算定)
  5. 同位体比(窒素・炭素・硫黄安定同位体比、炭素放射性同位体比、硝酸イオンの窒素・酸素安定同位体比等)